ビデオ判定について。

日本プロ野球
 
日本のプロ野球では、現場や各球団関係者から相当数の要望があったが、長らく導入されなかった。2006年6月11日の千葉ロッテマリーンズ読売ジャイアンツ(巨人)戦で、李承ヨプの本塁打が取り消しになったことをきっかけとして、巨人がビデオ判定の導入を訴えたことにより、9月28日のコミッショナー事務局で開かれた事業委員会(委員長:清武英利巨人球団代表)でビデオ判定の一部導入が議論された。その後、10月2日のプロ野球実行委員会で12球団に提案され、特に異論はなく導入される運びとなり、2007年のオープン戦で本塁打の判定に関してビデオ判定を試験導入する予定だった。
 
予定では、審判員控え室にモニターのある球場でのテレビ中継のある試合に限って、予備審判を置き判定の補助を行うことになっていた(この試験導入に先駆けて2006年の日米野球でも試験導入された)。しかし、審判員控え室にモニターの設置されていない球場が2006年時点では3球場(ナゴヤドーム横浜スタジアム明治神宮野球場)あったことから、2007年3月6日に開催された実行委員会で、2007年度の試験導入は見送りとなった。以降は、モニターの設置を急ぎ、予備審判が映像などをチェックすることで、判定技術の向上に役立てることにした。
 
その後2009年7月6日に開催されたセントラル・リーグの理事会で、モニターの設置が済んでいない3球場にも装置を設置し、同年8月11日から試験的に導入されることとなり、同年11月11日に開催されたセ・リーグの理事会にてビデオ判定が2010年のシーズンから、本塁打に限り正式に導入されることが決定した。
 
一方のパシフィック・リーグは導入に消極的であったが、同年12月7日の理事会で2010年のシーズンから本塁打に限りビデオ判定を導入することを決めた。こうして、ビデオ判定はセ・パ両リーグが同じ運用方法で行い、本拠地球場にのみ適用され、交流戦でも実施されることとなった。
 
適用第1号は、2010年3月27日、巨人対東京ヤクルトスワローズ戦(東京ドーム)における9回表にアーロン・ガイエルの放った打球で、バックスクリーン付近のフェンスに当たったため、当初はインプレーとして二塁打と判定されたもの。後にビデオ判定により「オーバーフェンスしていた」として本塁打に訂正された。パ・リーグ適用第1号は、翌28日の千葉ロッテ北海道日本ハムファイターズ戦(千葉マリンスタジアム)の7回裏に西岡剛が打った右翼ポール際の打球で、こちらはビデオ判定後も当初の判定のまま(本塁打)となった。
 
一方、ビデオ判定により本塁打が取り消された初のケースとなったのは、同年5月1日の広島東洋カープ中日ドラゴンズ戦(MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島)の6回表に和田一浩が打った左翼ポール際の打球(この打球はポールの上空を通過したため、即座の判断が難しい打球であった)。また、その逆にビデオ判定によりファウルが取り消され本塁打となった初のケースは、同年5月13日の横浜ベイスターズ千葉ロッテ戦(横浜スタジアム)の6回表に福浦和也が右翼ポール際へ放った打球だった。
 
なお、ビデオ判定に使用される映像についての統一ルールはなく、当日の試合を中継しているテレビ映像を見て判断される。
 
その他
 
韓国プロ野球では2009年シーズンから導入している。
 
学生野球・社会人野球では2011年現在、都市対抗野球大会選抜高等学校野球大会全国高等学校野球選手権大会をはじめどの大会でも導入されていない。
 
なお、現行の野球規則上は、ルール解釈に誤りがあった場合を除き、一度下された審判の判定は終局のものであり覆らないとされている。

ビデオ判定 - Wikipediaより。